大人の流儀

大人の流儀

大人の流儀

中島らもとの対談をしていたのもあり、大人の流儀が日経新聞の広告で宣伝されていたことも思い出して手を伸ばした。
週刊誌の連載で書かれていたもののようだが、時に厳しく、時に優しく若者に対する教えをもらえる。
社会は理不尽なところなのだ、というメインテーマが根底にあるが、
それも愛する人の死を乗り越えて出てきた言葉だと思うと、重みが違う。
2011年になってから発刊されたため、比較的最近のテーマについて
書かれているので引きつけられるという面はおいておいても、大人としての心構えを正さずにはいられない。


しかし、失敗しないと気付かないものだ。
また、失敗しないように行動しないのもつまらないものなのだ。

酒びたりで乱れまくっていた僕にとっては、品格のある酒というのは
耳が痛いことであり、人にも注意されるべきことでもある。


今年は襟を正して臨みます。

  • しかし、この不安というのが大切ではないのか、と今回思った。企業が新製品を出す時は皆そうだろう。不安は新しい出口を見つけてくれる唯一の感情の在り方かも。
  • 旅は旅することでしか見えないものが大半である。
  • 私はソフトバンクに関しては、興銀の問題の時から企業理念に対して疑問が残っている。
  • 風俗で働くことが悪いわけがない。彼女たちも人の子であり、夢があり、何か目的、事情があって働いている。私は健げだと思う。性の捌け口、孤独の依る所は社会にとって必要だからこうして存在しているのだ。
  • 眠れない夜もどうにか横になれた。どんな生き方をしていても人間には必ず苦節が一、二度むこうからやってくる。それがないのは人生ではない。人間は強くて、弱い生き物だ。そんな時、酒は友となる。
  • 喧嘩ははじまったらやめないことである。犬でも、山羊でも、猿でも、いったん背中を見せたら、そこで勝負は決する。
  • フランス人のロングバケーションに対する考え方。「仕事を忘れて、普段の時間とまったく違う時間を過ごすのよ。それがすべて」作家の城山三郎氏は、それを「無所属の時間」と呼んで、大切にした。
  • ギャンブルの最大の弱味は己でしかない点である。八百屋だって豆腐屋だって懸命にいいものを仕入れたり、こしらえれば喜ぶ人がいるでしょう。ギャンブラーはいっさい他人の為には生きません。初めっから死ぬまで自分さえよければいいんですよ。どう考えても最低でしょう。無駄です。」
  • 「さぞ苦しいだろうが、君の今の苦しみはやがて必ず君の力になる」これをニュアンスを含めて的確に英語で言えるのかね?
  • 小店が良いのは料理をこしらえる職人が少ないということともう一点(これが大事なのだが)料理が出てくるのが早い。(中略)酒でさえ、封を切って小一時間空気に晒せば味はかわる。ましてや料理は放っておけば職人の思っている味は半減すると私は考える。
  • 人生というものは総じて割りに合わないものだ。そういうことを平然と受け入れて生きるのが大人の男というものだ。
  • 新成人への言葉:
    1. すぐに役に立つものを手にして、何かが上手くいっていると思うな。すぐに役立つものはすぐに役に立たなくなる。
    2. 金をすべての価値基準にするな。金で手に入るものなどたかが知れている。金を力を考える輩は、さらに大きな金の力で、あっという間に粉々にされる。金は砂と同じだ。(そう言えば砂金と言うな)
    3. 自分だけが良ければいいと考えるな。ガキの時はそれも許されるが、大人の男にとってそれは卑しいことだ。咄嗟にプラットホームから飛び降り、人を救おうとした、あの韓国人青年の勇気と品格を思い出せ(いちいちそうしろと言っているんじゃないからね)。
    4. 世界を見ろ。日本という国がどれだけちいさく、外国からどう日本人が見られているか。将来、この国はどうなって行くのかを自分で考えるんだ。
    5. 神社、寺で手を合わせた経験があるなら、キリスト教イスラム教、仏教を学んでおくことだ。そこに今の世界観の出発点がおうおうにしてある(食事中に戦争と宗教の話はしない)
    6. 他人を見てくれで判断するな。自分の身形は清潔にしておけ。
    7. 二十歳から酒を飲めるようになるが、乱れるな、愚痴るな、品の良い酒を覚えろ。
    8. 今はこう言ってもすぐには分からないだろうが、周囲の人を大切にしろ、家族、友、恩師---。
  • 人間の死というものは残ったものに大きなものを与えます。特に親しい人の死はどこかに自分の力が足らずに死なせてしまったと悔やんでる人は多いはずです。私もずっとその気持ちは消えません。それに親しい人の死は思わぬ時によみがえって人を狼狽させます。死んでしまっているのだから片付いてもよさそうですが、死ですら片付かないのですから困ったものです。(中略)私の経験では、時間が解決してくれます。だから生き続ける。そうすれば亡くなった人の笑顔を見る時が必ずきます。(中略)数年前に観た映画でのチェチェンの老婆のせりふを紹介します。「あたなはまだ若いから知らないでしょうが、哀しみにも終りがあるのよ」

本当に勉強になります。
師匠と呼びたいです。