飲んだくれとギャンブル好き

中島らも伊集院静のエッセイを読んだ。
これが2012年の始まりになるのか。いいんじゃないか。


異人伝 中島らものやり口 (講談社文庫)

異人伝 中島らものやり口 (講談社文庫)

中島らもの半生を語り調(インタービュー?)で一冊の本にまとめている。巻末には伊集院静との対談もおさめられている。

まあ、一言で言うとイっちゃっている。
なんせヤクで捕まったくらいの人だから。
大量に酒飲んで、朝起きたら小説の原稿ができてた、とか怖すぎる。
でも女優さんによる後書きにあるように、全編にわたって妙な偏見とかもないから、とある優しさに包まれているような気分になる。
面白い話を沢山してくれる愉快なおっちゃんみたいな。
もっと小説書いて欲しかったな。

残り少なくなってきた積読が終わったら「ガダラの豚」を真っ先に読みます。

  • バンドはどうしても小さな政治ができてくるでしょ。メンバーが5人いたら、2つの派閥が生まれる。3人いたら、一人と二人の派閥になる。そこで政治を成り立たせるためにはファシストが支配しないとダメ。
  • 企業の代弁をうまくするというのがコピーライターの仕事なのに、本人の文学的な自己表現みたいなものを持ちこむなんてサイテー。
  • 最初に見た人は大笑いするやろうけど、同じギャグを二度・三度見て笑う人はいないから。テレビの場合は起承転結だったら、「転」だけとるわけ。「起」や「承」や「結」は見ている人の想像力に任せるわけ。それがよくできたCMなの。
  • 立川談志「落語は違う。落語は人間の業をあざ笑うものだから、決して楽しいもんじゃない。」
  • 落語は極端にネタが少ない。500くらいあるネタをやっているだけ。同じネタを別の落語家がやっているとすると、同じネタでは二回は笑わない。そんな客がどうなるかというと、批評家になるわけ。
  • ギャグ、ホラー、オカルト、ヴァイオレンスと、いっつも違う畑を歩いてきたけど、まあ根無し草(デラシネ)です。
  • バンドオブザナイトは、言葉というツールで、ストロボ・フラッシュ、レーザー・ビーム、リズム・マシーンとエレクトリック・ベース、つまりビートやね。
  • アリス・クーパーとデイビッド・ロス。どうしようもなくて廃人になってたのが、45、5くらいでカムバックしてきてるわけです。最終的にどっかで分かれ道があって、音楽と生きる方を取ったみたいな。その分かれ道が面白い。
  • 伊集院さんの作品では「くらげ」が好きです。作品の中で、違うんだ、会えないだけだっていうのがキュッとくるわけですよ。そう考えないと、ずーっと引っ張っていく。
  • 伊集院静の言葉)私は担当の人に「何かあったらやめそうだ」と言われるんですよ。やめそうにないやつばっかり書いているから。そういう人間は最初にこころざしを作るからね。到達点がすでにある。だけど、やめそうなやつは到達点がないから広がりが出るんだ。いい作品というのは最初奇妙に広がっているところがある。