パンパカパンツ

大した能力もなく、欠陥だらけ(成長の伸びしろがあると言い換えておこう)の僕だが、それなりにコンサルティング経験は積んできているので、いわゆる経営コンサルティング会社でアナリストやコンサルタント(新卒入社して5〜6年目くらいまで)ができてなくてはいけないレベルのことは一応一通りはこなせる。


僕のいる会社は会議後の議事録の書き方が特殊で、議論のプロセスを全て記述する。もちろん重複や冗長な部分は排除し、読み物として完成させるが、一般的な企業においてよく見られる、「議題」と「結果」のみを議事録とは認めない。
したがって、中途入社連中が最初にぶつかるのは議事録作成の壁だ。
もちろん僕も含めて皆寝食を忘れて食らいつき、個人差はあるものの3か月から半年くらいで一人前の議事録を書けるようになっていくし、なれると思っていた。しかし・・・。

部下の一人である、入社して1年経つ僕よりも人生経験も社会人経験も長いメンバーは議事録が全く書けない。
僕の会社では会議の翌日中に議事録を作成してクライアントへ送付することが暗黙の了解となっているが、たかが2〜3時間の会議でも彼の場合、1週間平気でかかってしまう。

仕事が遅い、努力が足りない、と一蹴するのは簡単だが、何とか改善しなければ彼が成長しないし、結果的にクライアントに迷惑がかかってしまう。問いかけながらどこが問題なのか彼自信に答えを出させようとするのだが、言葉につまってしまい、気まずい沈黙が流れる。
また、自分自身が当初苦労したことでも比較的短期間で克服してしまうと同じ気持ちになるのは難しいので正しいアドバイスになっていないかもしれない。
というわけで、30分だけ時間をとって彼と一緒に対策を考えることにした。


以下の順序で彼に質問し、原因の分析と対応を試みる。
1.何に1番時間がかかっているか?
2.時間がかかっている原因は何か?
3.問題を取り除き、作成時間を短縮するにはどうすればよいか?

1.まずは何に1番時間がかかっているかである。

議事録作成時間=A.新規作成時間+B.上司のレビュー後の修正時間
であるが、聞いてみたところBが全体の80%を占めていることが分かった。
改善のインパクトが大きいのは明らかにBであるため、Bを対象に進めることにした。

2.時間がかかっている原因は何か?

レビューは最終レビューである僕を含めて3人も通している。これは彼が第1版として出してくる議事録の品質が低いこともあるが、1人目のレビュワーの指摘も甘いことも関係している。
レビューによる修正が入る箇所を聞いてみると、3人の指摘内容はほぼ同一箇所だという。
ここで考慮しなければいけないのは、
A.そもそも会議で議論した内容を理解できていない
B.レビュワーの指摘を理解していない
C.レビュワーの指摘がそれぞれぶれているか
である。
聞いてみるとAであった。おそらくBも複合的に起こっている。
毎回、会議の前日のうちにチームで作成していた資料を僕がとりまとめて全員に送付し、印刷指示をかけているようにしているにも関わらず、会議に際して資料に目を通していないとのことだった。
また、目を通していないだけでなく、理解もしていないため、当日の会議で議論されていることをほとんど把握できず、聞こえてくる言葉を打っているだけということも分かった。

3.問題を取り除き、作成時間を短縮するにはどうすればよいか?

ここまでくれば問題は明らかである。会議前に資料に目を通し、近くにいるメンバーに不明点を聞き、内容を理解した上で会議に臨むしかない。
試しに前回の資料について、僕から質問をしてみるとほとんど答えられなかった。未だに理解できていなかったのだ。
明日の朝までに前回使用した資料の質問を洗い出してきてもらうことにした。

結論

分からないことが分からないという気持ちは分からないでもない。
でも聞かなければずっと分からない。
漫然と時間を費やしているだけで勝手に成長できるような甘い世界ではない。
でも分かろうとしないのは本当に理解できない。