僕の正義
これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学
- 作者: マイケル・サンデル,Michael J. Sandel,鬼澤忍
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/05/22
- メディア: 単行本
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午後喫茶店で読んだ。
著者は功利主義、自由主義、平等主義の3つの視点から様々な出来事を論じて、疑問を投げかける。
暴走列車をコントロールできるとして、5人死ぬのと1人死ぬのとどちらを選ぶか、高所得者から課税を増やすのは正しいのか、代理母出産した場合の親権は?などなど。
カントやアリストテレスの哲学まで動員し、論理的に分析していく。
実生活は判断の連続だけど、それぞれの立場で軸がぶれずに決定するのって難しいと思う。
また時間がたつとともに判断基準は変わりはしないか。
後悔することもあるだろうし、自分の咄嗟の判断を後で説明できないこともあるだろうしね。
道徳や倫理はどんな国や宗教や家庭環境や今の生活環境や気分や昨日食べた食事などに惑わされずないのか、と問われると非常に厳しいけど、言葉で説明できることが正義なんだろうか。
議論になること自体有意義なんだろうか。
格差社会はいけない、みたいな方向性は今現在国内にもあって、高額所得者からの納税額を増やせという政治家もいる。
でも作者が最後の章で言っているとおり、「たまたま」今の社会で高所得者層につらなっている人から単純に低所得者層に富を再分配するだけでは高所得者達は納得しないよねえ。