原作を読んで映画を観てきた

告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)

告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)

朝早起きして「告白」を読んだ。
一人娘を失った教師が、ホームルームの中で担任しているクラスの生徒の中に犯人がいるという告白から始まる。
その醒めつつも流麗かつ軽快な語り口と、名前を公表しないと宣言した上で、犯人を少年A・Bと伏せながらも話を聞いている生徒にはそれぞれが誰か分かるように詳細に紹介してしまうところにぞっとする。
さらにとんでもない復讐を行なうのだ。


章ごとに教師、生徒A、B、Bの姉(Bの母親)、少女Aと複数の視点より語られつつ物語は進行していく。
この手法自体は珍しいものではないが、個人的に衝撃を受けたのが、語り手の知能レベルまでが異なっている点。
通常1人の小説家が物語をつむぐわけなので、各人が知っている事実を異なる視点で描くことはあるとは思うが、本書は考えているレベル、視野まで章ごとに異なっている。
こんなの読んだことない。
ちなみに結末もすごい。


面白かったので調子にのって近くの映画館まで見に行った。
ちなみに僕は映画館にまで行って映画を観ることは滅多にない。

今の中学生こえー。
松さんこえー。

基本的には原作に忠実だが、もちろん原作にない/ある描写が作品の完成度を更に上げているように感じた。
音楽と映像にここまで恐怖心を掻き立てられるとは。
久しぶりにいい映画を観た。



少年法の問題は一昔前から犯罪が起きた直後は盛り上がるのだけれど、人はすぐに忘れる。
でも人の心の中はのぞけないし、どういう育て方が正しいかなんて誰にも分からない。
ひどい環境の中生きてきて社会に貢献する者もいれば犯罪を犯す者もいるし、逆もまたしかりだ。
犯罪という目に見える形にせずとも最低の行動をとり続けている人間もいる。

僕には自分より若い世代に対して、どう生きるべきだなんて断定的に言うことはできないけど、人を傷つけたり、殺すことがいけないことだとは言える。
突然キレる人は大人でもいるしね。
でも会話をして心を近づけるしかないのかな、とは思う。