僕の理由

今日は2冊本を読んだ。

決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法 (朝日新書 44)

決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法 (朝日新書 44)

勘定科目の仕分けには興味ないが財務諸表を「読める」ようになりたい人にはお勧め。
発生費用別にP/L、B/S、CSそれぞれへの影響が一見して分かるように丁寧に解説されている。



退散せよ! 似非(エセ)コンサルタント

退散せよ! 似非(エセ)コンサルタント

こちらは若輩者ではあるが、僕なりの視点から意見を述べさせていただきたい。10年後は言っていることが変わっているかもしれないが・・・。
本書のエッセンスを元にすると言いたいことは大きく3つある。

コンサルティング会社の上場について
コンサルタント能力について
コンサルティングスタンスについて

コンサルティング会社の上場について

コンサルティング業界でしばしば交わされる言葉(暗号?)の一つにクライアントファーストという言葉がある。
クライアントサービスを生業にしているプロフェッショナルたるもの、目の前にしている顧客に全精力を注ぐべきという意味である。
僕はクライアントファーストの理念にのっとり、コンサルティング会社は上場するべきではないと考えている。

株式市場では株式たる資本が自由に売買される。
むしろそのために上場する。資金調達の場としてである。
とある1社が株式を独占することも不可能ではない。
また、株式会社は誰のものか?株主のものである。
上場している以上、最優先されるべきは株主である。
株主の利益を考慮した企業活動をする場なのである。
例えば、大株主と同じ業界のクライアントを持つことになったらどうするのか?利益相反である。
利益相反になるような可能性のある行動はとるべきではない。

したがって、アクセ○チュアや○リングポイント(今はPWCだからよく分からないが・・・)の状況はプロフェッショナルとしては個人的には賛成できない。
F総研も同様だ。


ましてや新幹線でたまたま乗り合わせた人に馬鹿にされたからという理由で上場を目指すなどあり得ないことである。


コンサルティング能力について

何よりも経験が重要というロジックである。
1万社は見なければならないらしい。10年働かなければコンサルティングはできないらしい。
この○年働かなければならない、という経験値に基づく判断はコンサルティングに従事している者のモチベーションを著しく低下させる。
もちろん若手が全て分かったようにコンサルティングを提供するのは誤っているとは思う。若者が天狗になることは正しいとは思わない。しかし、数々のコンサルティング会社は何のために若手を採用するのであろうか。年齢の違いによる発想や行動力が組織に与える影響を無視できないからではないだろうか。
外資コンサルティング会社のパートナーと、是非議論していただきたい。

クライアントへの付加価値提供のためにはコンサルティング会社内で仕事中のディスカッションは欠かせない。その際に重要なのは、「誰が言ったか」ではなく、「何を言ったか」である。
一定の経験値を経ていないと認められないのであればディスカッションにならないのではないだろうか。


コンサルティングスタンスについて

僕が一番違和感を持ったのはコンサルティングスタンスである。
最終章に載っているインタビューにもある通り、クライアントは著者を神格化している。コンサルタントは協力者であるべきであり、「先生」という存在であるべきではない。
また、「クライアントが嫌がっていること」と「説得できないこと」はイコールではない。
クライアントが嫌がっていることにはクライアント側に責任があり、説得できないのはコンサルタントに責任があるのだ。コンサルタントが様々なファクトを鑑みた上で間違いないという施策は嫌がっていようが説得するべきだし、できるはずである。

数々の医師に対する不満があるのは分かるが、真の問題の明確化→解決案の提示をするというコンサルティングの本分からはかけ離れている。
経済力がある自分自身の経験を元に、医師とコンサルタントを同じように議論しているので非常に違和感がある。



長々と述べてきたが、コンサルティング経験4年の僕には語る資格はないのかもしれない。
しかし、コンサルティングサービスを受ける方が本書にある内容を当たり前と考えられては困る。
ロジックも客観性も含まれていないからだ。

コンサルティングサービスは効果を判断するのも困難な仕事である。
本当にフィーに対する価値があるのか、という疑問がクライアントには渦巻くとは思う。
もちろん適切な支援をできない会社やコンサルタントはいるかもしれない。
しかし、その判断基準は経験年数や直感力を持つかどうかでは決してない。
それだけは言っておきたい。