夜と霧

今更ながら・・・。

夜と霧 新版

夜と霧 新版

新版らしいですが、今更ながらヴィクトール・フランクル氏の著書です。
著者はオーストリア出身の心理学者・専門医ですが、第2次大戦の中、「ユダヤ人」という理由で、アウシュビッツに送られました。
生き地獄と言ってもおかしくない状況の中、空腹と睡眠不足と厳しい労働による疲労にさいなまれた生々しい状況が描かれています。

しかし、著者がこの本で伝えたいのはアウシュビッツのおぞましさや、絶望感ではありません。
死への恐怖が忍び寄る、弱い者への暴力が支配する最低・最悪の環境の中でも、生きる目的を見つけなさいということなのです。
生きることを諦めてはいけない。
自堕落になってはいけない。
アウシュビッツを乗り越えた俺たちが言っているんだから間違いないという強いメッセージを感じます。

人は目的がないと生きられないといいます。
現在の過酷な環境は、過酷な環境に耐えるための試練を神が与えてくれているんだ。
これを乗り越えればさらに成長できるんだ、という気持ちを改めて持とうという気になりました。

世の中、どれだけ大変だと言っても、罪もないのに人種だけで判断されて収容所(刑務所ではない)へ送られ、監視官からはあいさつのように殴られ、不衛生な中、過酷な労働につかなければならない状況よりも厳しいことはなかなか出会うことはないでしょう。

マズローの欲求5段階ではないですが、人は現状を当たり前と感じがちです。
今がいかに恵まれているかを実感しながら、より高みを目指して攻めていきたいと思います。
極限状態でも保てるくらいの「モラル」を持たなければなりません。
自分に言い聞かせています。